――夏休み。田舎から出てきておじいちゃんの喫茶店を手伝う少女とタモツは出会う。……
作品紹介のこの文章から、既に怪しげな雰囲気が漂っています。ここで書かれている「少女」とはぴこのことで、自然な成り行きとして、少女ではなく少年であることが判明します。童貞臭を漂わせている青年タモツは、ぴこから「モックン」と呼ばれて、翻弄されつつも信頼関係を築いていきます。二人の絆は性行為のバリエーションを増やしていくので、鑑賞する方としてはソワソワしてしまいました。
30分アニメの宿命として、展開が速く、ところどころ心情表現を端折り気味なのは気になりました。ですが、そこそこのラブストーリーとエロスとの組み合わせとしては、よくできていると感心させられます。谷田部勝義監督の力量と感性との賜だと思います。
何よりも魅力的だったのが、ところどころに挿入される、妙にフェティッシュなシーンでした。アブノーマルな性癖(痴漢、露出、ナンパ、ぶっかけ、スカトロ等)を常に追求するレーベル・
ナチュラルハイの作品というだけのことはあります。ショタアニメに限らず、ゲイホモ作品の多くは、ただ男同士で絡んでいるだけのものがほとんどです。フェラやアナルセックスがメインなのはいいのですが、いきなり性行為に発展する展開に僕は少々うんざりしていたところです。そんな僕の琴線にも触れた傑作が『
ぼくのぴこ』だったのですね。これは嬉しい出会いでした!!
モックンとぴこが出会った場所は、ぴこのおじいちゃんが経営する喫茶店です。そこでぴこがウエイトレスとして働いていたのです。ウエイターではなくウエイトレスですよ!どこをどう見ても女の子にしか見えない格好のぴこがドジをして、それがきっかけで二人は仲良くなるのです。孫に女装させるジジイの趣味がアレですね(笑)それはさておき、女装少年との恋愛というシチュエーション自体が既にフェチ要素満載です。ですが、真にフェチいのはこの後です。
「たまに遊んでやってくれ」というおじいちゃんの頼みもあって、モックンはぴこを遊びに連れ出します。望遠鏡を見たいが身長の足りないぴこは、モックンにお願いします。「モックン、抱っこして」ここでモックンはぴこを抱きかかえます。その際に、モックンはぴこのうなじに心惹かれるのです。うなじですよ、うなじ!ぴこのうなじに鼻を押し付けるモックン――これがどれだけフェティッシュなシチュか、たまらないですね(笑)
その後、「アイスクリームを食べたい」というぴこに、モックンはソフトクリームを買ってあげます。このソフトクリームがまた演出効果抜群なのです。ぴこがアイスを舐め、指先を舐め、そうした舌の動きをアップで映します。唇と指先の間にツーッと糸を引く唾液もしっかり見られます。何だこのフェチ展開は!?もっとフェチいのは、アイスがモックンのシャツにこぼれた後の流れです。
「(シャツについたアイスを)口で舐めてよ。乾くと染みになるから……」
モックンは、もはやただの変態童貞野郎と成り下がっています。それに応じるぴこもぴこですが(笑)そして、自然な流れとして肉体関係へとつながり、ぴこが男バレするのです。ぴこの股間からニョッキリと生えた包茎チンポにモックンも一瞬たじろぎますが、何事も無かったかのようにカーセックスが進んでいきます。ぴこが手に持ったソフトクリームは溶けて、アイスの白い汁が腕を流れ落ちます。それがピコのぶっ放した精液と重ね合わされている描写は秀逸でした。
その後、女装プレイがあり、ぴこがモックンとの関係に悩んだ挙句に髪を切るシーンがあります。断髪というのもフェチ要素をくすぐります。同時に、それまでは少女の代用っぽく描かれていたぴこが、完全に男の子として生まれ変わるのです。若干ロリコンっぽい流れだったストーリーが完全にショタ路線へと変わるわけです。この辺りも本当に巧い展開です。
最後は、街の夜景を背景にして、砂浜で二人が青姦を行います。ここでもムッツリスケベのモックンが変態っぷりを遺憾なく発揮します。砂浜でのセックスにためらうぴこに、モックンが言います。
「俺とじゃ、見られるの、イヤ?」
いやいや、そういう問題ではなく、未成年と青年がセックスしているのを見られて通報されたら、モックン、逮捕されますよ!冷静な口調で理性のぶっ飛んだことを言うモックンが魅力的でした(笑)
ぴことモックンの危険なひと夏の恋を描いたショタアニメは、本当によくできた傑作だと思いました。フェチ心を刺激することを忘れず、エロもふんだんに盛り込み、かつところどころに挿入される夏の景色が見る者に青春時代を思い出させます。これからは、蝉しぐれを聞くだびに、ぴことモックンの変態プレイが脳裏を過るようになると思います。そのくらい印象的な作品でした。続きも気になって、夢の中にもぴこが出てきそうです(笑)